こんにちは、茜です。
高知県在住、趣味は読書です


産婦人科の見習い看護士が産まれたばかりのいのちを見つめる、『透明なゆりかご』とゆー漫画。
以前にも感想記事を書いたんですけど、今回大幅に書き直しました

だってー、人気のある記事は定期的に手直ししてUPすべしってー、ブログのアクセスアップの方法に書いてあったからぁー。
(今回の記事は長いよ!)
「透明なゆりかご」の画像検索結果

『透明なゆりかご』は最初はネット配信されたんですけど、その内容に共感が集まり、今では文庫本7巻まで出ています

今回書くのは、1~4巻まとめての感想です。
今までバラバラに書いてた感想記事をまとめて加筆するって感じです


パソコンから読むには
http://renta.papy.co.jp/renta/sc/frm/page/topics/google.htm?tid=321948&utm_id=a-r13c1

スマホだったらコチラ。
http://sp.comics.mecha.cc/books/show?id=87223


●行間を読ませる作品

最初は第二話まで試し読みができてて、その切ない最期と著者の優しいまなざしが瞬く間に話題になりました。

絵を見ていただいたらわかるんですが、雑なんですよ
そんなに上手じゃないんです
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実際に体験した人にとっては、一生のトラウマになるだろう内容だけどどれも一話完結でサラッと書いてある。
だけどそんな絵と軽さだからこそ、シンプルだからこそ伝わってくるものがすごいんです。

比較に出したらいけないのかもしれないですけど・・・
手塚治虫の『火の鳥』読んだことある人にはわかるとおもうんですけど、あれってものすごく壮大なストーリーですよね。

「人間の文明が暴走して、地球上のすべての生き物が死んで、たった一人火の鳥の力によって不老不死にされた山野辺マサトだけが、何万年も何億年も生き続けて、孤独にのたうちまわりながら、生命の進化を見届ける」

この時間軸が一冊に収められているのが、『未来編』です。


手塚治虫の漫画は、効果的なコマ割り・セリフ・展開によって、無駄をそぎ落とし、読者に行間を読ませる、そんな作品です。

そして、この『透明なゆりかご』も、同じ行間を読ませる作品。

「透明なゆりかご」の画像検索結果
(第二話 野良妊婦)

第二話の、沿い乳中に赤ちゃんが死んでしまったという田中さん。高校生の主人公は、赤ちゃんの最期のときを想います。「きっと健太君は、お母さんの愛情に包まれて死んでいったんだ―・・・」と。

第二話を読んだ人は、きっと想像したはずです。

頼れる人もなく、まともな人生を歩んでこなかった田中さんが、たった一人でどんな育児をしてたんだろう
健太君の死を発見したとき、どうなっただろう
田中さんが野良妊婦だったということは、相談できる人がいなかったということだから友達も家族もいないだろう、てことは、仕事は?性格は?成育歴は・・・


また、第三話の『保育器の子』では、たった一人で出産した高校生がどうゆう思いで赤ちゃんを捨てる場所を探して自転車をこぎ続けたか・・・


13話、『子供嫌いの看護師』の果月ちゃんは、看護師になって手に職をつけたので、売春から逃れることができたでしょう
でも地元の病院に就職したということは、母親からは逃れられなかったのだと想像します
きっと彼女は、地元にいる限り母親が死ぬまで搾取されながら生きるでしょう
けれど売春から逃れる、仕事を通じて他人から必要とされる、ということは、彼女にとって大きなステップアップだったに違いありません。



多くを語っていないからこそ、どの話でも行間を想像し、共感したり心を痛めたりすることができるのです・・・。


●誰もが、きっと出会ったことがあるキャラクター

それと、『透明なゆりかご』に出てくる人たちは、みんな泥臭くてリアリティがあるんですよ。
中には人格障害者としか思えない大人達も出てくるんですけど、そんな異常な人たちも含めて、きっと読者の中には思い出す人物が出てくると思います

学生の頃の友達、近所のおばさん、不良だったあの人、友達のお母さん・・・・。

だからこそ、子どもがいない人でも、キャラクターたちの動きや主人公の目線に共感できるし、心が揺さぶられるのではないでしょうか。

私の場合は中学校の頃の友達をよく思い出しましたねー
貧しかったらしく、税金対策で両親が離婚してるにもかかわらず一緒に住んでいるとゆう・・・。
思春期の頃は大変そうでした・・・。
その後新興宗教に救われたようでした。今も幸せだといいけど。

あと、大学の頃の友達とか・・・。
親に虐待されてたとかで、今考えるとパーソナリティ障害だったんだろうなぁ

若かった私にも、家庭が不和で、特に親から愛されていなかった人は、ただ生きていくだけで大きなハンデを持っていることがわかりました。

関連画像


●“フツウ”でいられることの奇跡と努力

もう一つ、私が一番感じたことは、「普通でいられることの奇跡」

この漫画には、飛び込みの野良妊婦とか、性虐待にあった女の子とか、学生の妊娠とか、親から虐待を受けてきた大人とか・・・。フツウじゃない環境の人たちがたくさん出てくる。

私は割と“フツウ”の家庭で育ったと思います
大学に行くまで自分の“フツウ”がどれほど貴重なものかわかっていなかったけど、今は痛いほどわかる。

安定した収入、両親がいること、仲のいい家族。

私が育ってきた環境は、。非の打ちどころもないほどの完璧さだったんだ。


そして、大人になって、その幸運さは両親の不断の努力によって維持されてきたことを知った。
やっぱ自分が仕事したり結婚したり子育てしたりしてみると、これをずーーーーーーーっと維持し続けていくのがいかに難しいことかわかるよなー!!


私の友達にも、家庭環境は不安定で、思春期の頃に相当苦労した人たちがたくさんいるけど、大人になった今は家庭を持って、幸せな環境を子供たちに与えてあげている人が少なくない。

母子家庭で、住所を転々としたAちゃん。
彼女は10代で結婚し、今は三人の子供がいる。旦那さんとはケンカも多いけど、仲のいい家庭を築いている。
安定した暮らし、仲のいい両親がいる生活、きょうだい。
それは親がAちゃんには与えられなかったもの、そして今Aちゃんが子供たちに与えてあげているものだ。

崩壊した家庭で育って、高校の頃は自殺未遂もしたB。
彼女は最初の結婚は破綻したけど、子供たちを一人で育て、再婚して男の子を産んだ。
でもやっぱり一人の人と安定した生活をするのは難しいみたいだ。
今は仕事に喜びを見出している。

中学生の頃に母が死んで、父親の会社も倒産するなど、過酷な思春期を過ごしたCちゃん。
彼女は10代で結婚し、今は4人の子供がいる。
彼女は今でも旦那さんが大好きで、旦那さんもCちゃんのことが大好きだ。
子供と旦那さんを心の支えに、毎日たくましく生きている。

幼児の頃に父が自殺して、問題のある母親のもとで育ったDさん。
彼女は父親の優しさ、賢さを受け継いで、地域でもっともアクティブなママとして有名だ。
たくさんの人と繋がっている。信条の「世界平和は家庭から。」は、彼女の生きざまを見ていると説得力がある。

崩壊した家庭で、母親からの過干渉にやっと距離を置くことができたEちゃん、

親からあまり愛情を受けずに祖母のもとで育ったというFちゃん、・・・・・。


他にも何人もいすぎて、書き出せないぐらい。

彼女たちは、今でも生い立ちゆえに苦しむこともあるけど、常に、夫と仲良くしていくこと、子供にしてあげられることで一番の選択は何かを考え、努力し続けている。

でも、中にはいい出会いを探すことすらできず、今でも傷ついたまま家にとどまってもがき続けている友達もいる。


『透明なゆりかご』に出てくる人たちは、決して特殊なその人だけのケースではなく、実際にこの世の中で生きている人たちだと思う。
そして、みんな幸せになるために、もがき続けている。
母親に虐待されたミカちゃんが、母子手帳に我が子への愛情をいっぱい綴っていたように。


本当は、漫画のストーリーの最後、なんだか希望の持てる終わり方は、もしかしたら作者の後付けなのかもしれない。
数カ月しか産婦人科医院でバイトをしてない作者が、こんなにたくさんの患者たちのその後を知っているなんて、ないのかもしれない。

でも、登場人物たちに、少しだけ希望を感じさせてあげることが、作者の優しさであり愛情なんだと思う。ここに、読者が胸を打たれるんじゃないかな。

関連画像

●この世界は、主人公が産婦人科でバイトしてた20年前と比べて、よくなっているんだろうか

この話は、1997年のことなので、今から20年も前の話です。

けれど、現在貧困家庭の増加が深刻な社会問題。
子供の6人に一人は貧困だとか。
テレビを見ていると、子供が飢えているから子供食堂が全国にできたり、精神疾患が国民病になったり・・・。
日本が斜陽国家になってゆく様を感じます

虐待される子供は明らかに多くなっているようです。
けれど、20年前と比べると、中絶件数は激減しています。
医療が進歩して、助かる小さな命も増えました。

この世界は、20年前と比べると、良くなっているんでしょうか。

奇しくも、今まさに私が子供たちにこの世の中を手渡す世代になりました。娘の教育や、娘の友達にも大人の姿を示す、そうゆう存在にこれからなるとゆうこと。

子供の時にクソみたいに思っていた世の中を、どう変えていちこに渡すのか。
また、世の中の変え方をどんなふうに伝えるのか。

これから考えることがいっぱいありますね。
大人になって、「大人もまだ発達途上なんだ」って知ったとゆーのに。


  *  *  *  *  *


長々書きましたが・・・

きっと、人生を振り返ったときに、思い出す漫画の一つになると思います。おそらく、全ての人が。
それだけインパクトのある作品です。

若い人、人生に疲れた人、子育て中の人、大切な人がいる人、自分を大事にできない人・・・。
つまりすべての人に読んでもらいたいです!!!



つづく。